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チャーリー

#9 生きろ!「マヂ無理病んだ」対策簡易マニュアル

更新日:2023年5月6日

 人は生きている限り必ず困難に直面する。そして時としてその困難は自分の処理能力を凌駕し、場合によっては心をズタズタにして、再起不能かに思わせる程である。

 心療内科や精神科はそんなときに頼れる存在だ。この記事では「マヂ無理」になったときの対策の例をマニュアルという形で記すことにする。誰かのご参考になれば幸いである。


 

0、非常食を確保する


 災害用の備蓄食料は自宅にあるだろうか。その中から、賞味期限の近いものや、調理が簡単なもの、好きなものは、病んだときに食べてしまうという手がある。メンタルの非常事態にこそ非常食は役立つ。回復の波が来たときに買い足せば良くて、実際備蓄食料の定期的な入れ替えは推奨されている。



 ビタミンやミネラルのサプリメント、胃薬整腸剤まであれば一安心だ。あり得る「籠城戦」に備えるべくまずは栄養を摂って、できるうちにできることをしておきたい。


 そして同時に、医者を頼る選択肢も捨てずにおきたい。


1、医療費は削減できる


 心療内科は頭痛や腹痛といった内科的不調が大きい場合に、精神科は涙が止まらないなどの精神的不調が大きい場合にかかる、ということがよく言われている。そこで、受診したとして国民皆保険でも3割の負担は大きいし、医師との相性もあるので病院選びに時間を要することもある。

 しかし通院先が決まってしまえば、実は医療費は大きく削減できる。


 「自立支援医療制度」というものをご存知だろうか。


 この制度を使えば、なんと割引料金で同じ内容の精神医療を受けることができる。しかも所得によっては費用無料になる。必要書類は市区町村役場でもらうことができ(郵送もお願いできる)、病院と薬局を登録することで、診察も薬剤治療もどちらも割引になる。自由診療には適用されないので要注意だ。


 詳しい手続き・手順は、お住まいの自治体の役所や主治医にお尋ねください。


2、手帳は実はとても合理的


 さて、通院や入院などでの治療が功を奏しめでたく健康な生活を取り戻すことができたなら、それ以上に喜ばしいことはない。しかし必ずしもすぐに社会生活に復帰できるとは限らず、また復帰できても健康な状態と同じだけのパフォーマンスを発揮できるとは限らない。そこで視野に入れるのが、精神障害者保健福祉手帳、「手帳」である。これを取得するにも診断書取得や必要書類の記入といった手順を踏まねばならない。症状や実際の「生活の困り具合」を総合的に勘案して、1〜3の等級が決まり、等級に応じて様々な支援や割引を受けることができる。例えば東京都ならば3級(最低級)取得で都営交通の無料パスが貰える。また、美術館や博物館も無料で観覧できることが多い。とても合理的だ。



 また、就職の間口も広がる。一般就活もできるし障害者雇用にも応募できる。一般就活の場合申告の義務はない。

 障害者雇用の場合は申告しないと応募できないので、義務というよりは必要といえるだろう。週5日8時間労働できるだろうか。人間関係でトラブルを起こさないだろうか。といった心配事も相談しやすくなるかもしれない。

 さらに、手帳という公的証明により、自治体の就労定着支援にも登録できるようになる。生活上の困りごと、学業や仕事上での困りごとなどを気軽に相談でき、依存先を増やすことができる。

 心が弱っているときに、公的な依存先が複数あるということはおそらく好ましい状況である。弱っていると何かに縋りたくなるのは人間誰しも同じで、そういうときに限って悪質商法やカルトが近寄ってくる。そして言葉巧みに誘導され、カモにされてしまう。そんなリスクを低減するためにも公的な依存先は大事だ。また知人や友人、恋人といった親しい人々に依存してしまうのも関係性としてあまり好ましくはないので、やはり「程よい距離」の機関であることが重要だろう。


 もし手帳を申請・取得しようかな、と考えるようになったら、自分の実生活と照らし合わせて、主治医や専門家と相談しながら支援を取捨選択していくとよいのではないだろうか。


3、「傷病」という枠組み


 精神疾患と一口に言ってもその実情は千差万別で、健康な人と大差ない生活を送れる人もいれば、労働などの活動することでさらに体調を悪化させてしまう人もいる。すると生活費に困るという場面が発生しうる。親族の扶養に入ることができるなら局面としては乗り切ることができるだろうし、他にも傷病手当などを受け取ることができれば同じく乗り越えることはできるだろう。しかし残念なことに日本はいま、そんなに裕福な国ではなくなっていて、一億総中流の時代は終わりを迎えようとしている。



 そんなとき手段として生活保護がある。「生活保護は国民の権利です」厚労省が必死に喧伝していたのをみなさんは覚えているだろうか。

 特に、資産を持たない若い一人暮らし世帯だと「世帯主の傷病」を理由に受給できる可能性がある。働けない日が多い、起き上がれない、薬を飲んでも活動できるほどの力が湧かない……そんなときには是非、自治体の役所に相談してほしい。親族との関係性次第では、役所から親族へ扶養願い連絡を回さずに、秘密に手続きを進めることもできるそうだ。現状生活保護は大学生などが受給対象外となっているのが非常にネックだが、もしかしたら自治体独自の傷病者・障害者支援があるかもしれない。女性は風俗で男性は肉体労働という時代は、もう終わりだ。心身を削る過重労働はセーフティネットではないのだ。


 そしてうっかり自ら人生を終わらせるようなことはできればしないでほしい。「人生詰んだ〜!」となっても、助けてくれる人は実はたくさんいる。人生を少しスローペースにして、いずれまた再開すれば良いのである。


4、障害という語は人を指し示さない


 障害という語は人を指し示さない。あくまでも個人が直面している社会的困難を障害と呼ぶだけである。病気や障害を抱えていることは何の引け目でもないし、もっと言うなら蔑まれるようなことでもない。「メンヘラ」や「ガイジ」といった言葉を筆頭に、ネット上には精神不調などを持つ人に関するスラングがいくらかあり、同時ににそれらを揶揄する言葉が使われがちである。しかしどんなスラングでラベリングしようとも「あなたはあなた」なのである。困難を背負わされ続ける理由にもならないし、蔑まれる理由にもならない。自己決定権を無闇に奪われる理由にもならなず、挑戦する機会を制限される理由にもならない。

 そしてもし「元気で健康」な人がこの記事を読んでくださったとして、決して体調のよくなさそうな人に押し付けることはしないでほしい。


 地域や家庭によってはなかなか精神科に行きづらいということもあるだろうし、専門家になかなかアクセスできない場合もあるだろう。「マヂ無理病んだ」状態になった人が少しでも適切な支援に辿り着けることを願って止まない。



🌻おしまい🌻

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